大洗の芸術・娯楽

 大洗海岸の初日の出は有名で、元朝には年々数万の人々がおとずれる。又ここは月の名所でもある。古来多くの詩歌に詠まれている。徳川光圀(水戸黄門)の詠まれた歌に


  荒磯の岩にくだけて 散る月を
  一つになして 返える浪かな

がある。この歌「磯月」と題して「常山詠草」の「巻一」におさめられている傑作で、大洗地方では古くから人口に膾炙している歌である。

 ところでこの歌にかの有名な瀧廉太郎が作曲していた事が、18年ばかり前にわかった。たぐいまれなる名君水戸光圀と、天才作曲家瀧廉太郎が元禄時代と明治時代と、永い年月を超越して、大洗の月で結ばれたと云う事は、まことに愉快である。

荒磯 水戸黄門作詞 瀧廉太郎作曲|大洗歴史漫歩(大久保 景明)より抜粋

大洗の文化の記録